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45回 公教育と私教育

公教育と私教育  恥ずかしながら、私が教員になってから、長い間気づかなかった事実について書かせていただこうと思う。それは学校の目的についてである。一括りに学校といっても、公教育と私教育は全く違うものである。

 まず、各国がその国の子どもたちに提供する教育というのは、将来その国を支えてくれる人を育てるためにある。日本の場合は、将来の日本の社会を支えるために働いたり、日本の仕組みを維持するために日本にちゃんと納税をする人になったり、日本を次の世代に引き継いでいくために次の世代を育てる人になったりすることを目指して内容が考えられている。その国を維持するための良き国民を育てることを目指してつくられているのが、各国の教育であり、それを行うのが学校である。だから、学校における公教育は、国民の子どもたちに無償で提供されるのである。

 各国のカリキュラムに従っている私立学校も大枠は一緒である。しかし、私立学校は各校の建学の精神に基づいて作られている。そして、その建学の精神という理念の下で、各国のカリキュラムを教える。大まかに言うと、私立学校の育てたい生徒像は各校の理念に表されている。各国に展開するインターナショナルスクールも私立学校であるが、それらは地球市民を目指すということで、最初から地球のための大人を育てることを理念としている場合が多い。

 そもそも、学校という仕組みにより全員に教育を受けさせるということが始まったのは、19世紀である。学校システムはまだ200年の歴史しかない。現在の社会において、より個人を大切にするという考え方が強くなっているのは、皆さん感じられていることではないだろうか。その個人を大切にする社会の中で、学校システムも変わっていかなければならないだろう。学校選びをされるときには、そもそも学校は何のためにあるのかを考えて、その上で個人としてどのような大人に育ってほしいのかを考えなければならない。誰の話を聞いても正解はないので、自分でちゃんと見て選んでいくしかないのである。

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