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17回 大人の責任

目線を下げる


 私が教員として働きだした最初の年に、尊敬する先生から言われて、今でも心に残っている一言があります。それは、「あなたの伝えたいことは何?子どもと関わるときに、大人が目線を下げないでどうするの?」という言葉でした。教員1年生だった私は、自分の伝えたい思いばかりがあふれ、常に独りよがりな指導ばかりをしていました。いくら理想があっても、いくらその理想を正しいと信じていても、受け取るべき人に届かなければ何の意味もありません。その当時の私は、ただ自分の話したいことを話して、自分が満足しているだけでした。



子どもの気持ちで


 この言葉は、教員と生徒でどっちが上であるとか、下であるということではありません。教員のほうが人生経験が豊富であり、自分が生徒だったときを経験しているのだから、生徒だった時の自分を思い出しながら、相手の気持ちで考えなさいという意味でした。この言葉を聞いてから、「こんなこと言われて納得しないよな。」「話しかけるのはこのタイミングじゃないな。」「こんな人に言われたくないよな。」などど、話しかける相手のことを考えて話すようにしてきました。(もちろん、その後でも失敗したことも多々ありますが。)



選ばせる


 きっと、親子の関係も同じだと思うのです。子どもは我が子であれ、他人です。他人を変えることはできません。どんな時でも変えられるのは、自分です。子どもへの教育の中では、大人が柔軟に変わっていくしかないのです。導いてあげようとするのは大切ですが、必ず子どもたちに選ばせてあげてください。親が選んでほしい選択肢があるのならば、それを無理やり選ばせるのではなく、子どもが選んでくれるような選択肢の提示の仕方を、綿密に考えてください。一人でも多くの子どもたちが、自分で選択をして、自分の人生を楽しく生きていくことを願っています。


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