生徒の状況の調査として、OECDの行うPISAがよく取り上げられます。実は、OECDは教員の状況についても調査しています。それが、TALIS (Teaching and Learning International Survey)です。
最新の2018年の調査結果を見てみると、日本の教員の現状を見ることができます。ここでは、その結果をご紹介します。伝えたいメッセージは一つ。日本の先生、頑張ろうよ!です。
国際教員指導環境調査(TALIS)2018 の結果より引用
①教員と校長の社会人口動態と経験の状況
日本の校長の平均日本では女性校長の割合はわずか 7%、女性教員の割合は 42%。
これに対して、OECD の平均は、女性校長の割合が 47%、女性教員の割合が 68%。
⇒左2つのグラフ、日本の赤丸だけ、ダントツで下に行ってます。女性教員、少なすぎます。
②教員の学級指導方法
日本で、複雑な課題を解決する手順を自分で決めるよう生徒に求めることがしばしばあると回答した教員は 25%である(OECD 平均 45%)
日本では、生徒を観察し、フィードバックを即座に行うことによって生徒の学習の進捗状況を日頃から評価しているとした教員は 41%(OECD 平均 79%)
生徒に対する独自の評価を実施していると回答した教員は 51%(OECD平均 77%)
生徒に学習の進捗状況を自己評価させることがしばしばあるとした教員は 31%であった(OECD 平均 41%)
⇒手順を自分で決めて課題解決をさせてないということは、教え込んでしまっているということですよね。そして、個別のフィードバックも少ないということは、一斉授業をしてしまっているということかなと思います。評価の仕方も、他の教員と合わせて、型にはまっている。つまり、子ども一人一人を見ておらず、全体最適的な考え方で指導をしていることの影響が出ているのではないかと考えられます。
日本では、「全体としてみれば、この仕事に満足している」と回答した教員の割合は 82%(TALIS 参加国・地域の平均は 90%)で最下位である。
このような差の原因は、教員としての雇用条件(給与を除く)に対する満足度によるところが大きいと分析されている。雇用条件に満足していると回答した教員は、TALIS 参加国・地域は平均 66%であるのに対し、日本は 40%である。
対照的に、給与に満足していると回答した教員が日本では 42%に上り、TALIS 参加国・地域の平均(39%)を上回っている。
その一方で、日本は校長の 93%が「全体としてみれば、この仕事に満足している」と回答している(TALIS 参加国・地域の平均は 95%)。
また、教員の調査結果と同様に、校長についても、教員としての雇用条件(給与を除く)に対する満足度が他の TALIS 参加国・地域よりも低い傾向がみられる(満足しているとの回答は、日本の 48%に対し、TALIS参加国・地域の平均は 66%)。給与に満足していると回答した校長も 29%に留まり、TALIS 参加国・地域の平均(47%)を下回っている、
⇒給与ではなく、仕事内容について満足していない教員が60%ということです。給与はもらっているけれど、やりたいことができていない教員が多いのではないでしょうか。
日本では 31%の教員が、「可能なら別の学校に異動したい」と考えている(TALIS 参加国・地域の平均は 20%)他校への異動を考えている日本の教員の割合が高いことは、現在の勤務環境に対する満足度が低いことで説明がつくと思われる。日本では「現在の学校での仕事を楽しんでいる」と回答した教員の割合(日本の 78%に対し、TALIS 参加国・地域の平均は 90%)も、「この学校を良い職場だと人に勧めることができる」との回答の割合(日本の 62%に対し、TALIS 参加国・地域の平均は 83%)も最下位である。
また日本は、「現在の学校での自分の仕事の成果に満足している」との記述に、当てはまらないと回答している教員の割合が半数を超える唯一の国でもある(日本の 51%に対し、TALIS 参加国・地域の平均は 7%)
だが、それ以上に驚きなのは、最下位の日本とその次の国との間に 30 ポイントもの開きがあることだ。このように現在の勤務環境に対する満足度が低いことを背景に、日本では「もう一度仕事を選べるとしたら、また教員になりたい」と回答した教員は、かろうじて半数に届く程度(55%)である(TALIS 参加国・地域の平均は 76%)
⇒ここが衝撃でした。だって、仕事を楽しんでる教員が最下位ですよ!そして、仕事の成果に半分以上が満足していない。ということは、やってて充実していないのに教員をやっているってことですよね。そんな人が子どもたちの前で教えてるんですよ。
過去 12 カ月の間に定期的に「新たな指導実践を開発するための教員間の協力 を支援する取り組みを行った」と回答した校長の割合は日本が最も低く、TALIS 参加国・地域の平均が 59%であるのに対し、日本はわずか 31%である。
月に 1 回以上「専門性を高めるための勉強会に参加する」と回答した教員の割合は、日本が最も低い(日本 6%、TALIS 参加国・地域の平均 21%)。
その一方で、月に 1 回以上「チーム・ティーチングを行う」と回答した日本の教員の割合は 58%で、TALIS 参加国・地域の平均 28%を大きく上回っている。ただし、この傾向は公立学校の教員に多く見られ、私立学校とは 29 ポイントの差がある。
⇒左から2つ目、学校の方針について、教員に大きな責任を任せている校長の割合も、平均値よりもかなり低いことがわかります。つまり日本の教員も、ただ言われたことをしていて、新しい取り組みなどに挑戦をしていない傾向が強いことがわかります。
⇒今まで、この結果を見たことがありませんでした。
私は、教員って、本当に素敵な職業だと思っているのですが。
日本の先生方、頑張っていきましょう。
原文は以下より
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