IBDP数学の前に、どの程度の準備が必要なのか(MYPやIGCSEからの接続)
- 7月23日
- 読了時間: 6分
G6〜G10保護者向け:MYPからIBDP数学への接続を考える

MYP数学で良い成績を取っていれば、DP数学でも問題なく学習できるのでしょうか?
また、MYP Mathematics Extendedを履修していれば、DPでMath AA HLやMath AI HLを選択しても安心なのでしょうか?
MYP・IGCSE・DP数学の指導経験から言うと、MYP数学の成績だけで、DP数学への準備が十分だと判断することはできません。
特にDPでHLの選択を考えている場合は、MYPの学習に加えて、DP開始前の追加準備が必要です。
なお、この記事で示す内容は、IBやCambridgeが定めた公式の履修条件やコース選択基準ではありません。塾講師としての指導経験に基づく、DP数学で苦戦しないための目安です。
1.MYP数学で高成績なら、DP数学でも安心なのか
MYPの学校内成績やeAssessmentの結果は、DP数学のコースを考えるうえで重要な判断材料です。
特にeAssessmentは、学校内で作られた試験ではなく、IBが実施・採点する外部試験です。そのため、生徒のMYP数学における到達度を客観的に確認するための指標になります。
しかし、eAssessmentで最高評価の7を取っていても、DPのSLで苦戦する生徒はいます。
これは、MYPの評価に問題があるという意味ではありません。MYPとDPでは、要求される数学の量と使い方が大きく異なるためです。
MYPのeAssessmentは、探究、コミュニケーション、批判的思考を重視しており、知識を覚えているかだけでなく、未知の状況に数学を応用し、自分の考えを説明する力が問われます。
一方、DP数学では、数と代数、関数、幾何と三角関数、統計と確率、微積分の5分野が試験範囲になります。複数の分野の知識を組み合わせ、限られた時間内に問題を処理する力も必要です。基本的な計算や式変形に長い時間を使うと、後半の応用問題を考える時間が残りません。
また、MYPでの学習内容についても、私が確認したMYP Mathematics ExtendedのeAssessment過去問では、微分・積分を直接使う問題は確認できませんでした。MYPのeAssessmentだけを目標に学習している場合、微分・積分の本格的な学習がDP開始後になる可能性があります。
DPは2年間のプログラムですが、2年間すべてを新しい内容の学習に使えるわけではありません。学校によって時期は異なりますが、多くの学校では、最終試験の数か月前にMock TestやPreparation Testを実施します。また、それまでに学習した全範囲を復習する期間も必要です。私が把握している範囲では、主要な学習内容を約1年6か月で終え、その後の約3か月を総復習に充てる学校が多くあります。
さらに数学では、通常の授業に加えて、IAのテーマ決定、数学的な分析、執筆、修正にも時間を使います。そのため、DP開始後に基礎内容を一から学び直していると、新しい内容の学習や問題演習に使える時間が不足します。
私が指導した生徒の中には、MYPの学校内成績またはeAssessmentで7を取っていたにもかかわらず、DP数学のSLでは4〜5にとどまり、苦戦した生徒もいます。
塾講師としては、MYP Extendedの学習だけでは、DP数学、特にHLへの準備として不十分である可能性が高いと考えています。
一方で、MYPで身に付ける力には、DPに直接つながる大きな利点があります。
MYPでは、
パターンを調査する
数学的な関係を説明する
自分の解法を正当化する
数学を実生活の問題に応用する
結果の妥当性を考察する
といった探究型の学習を行います。
これらは、DPのIA(Internal Assessment)で必要となる力です。
したがって、MYPには、DPのIAに必要な探究力や数学的な説明力を育てられるという強みがあります。ただし、IAに必要な探究力が身に付いていることと、DPの筆記試験に必要な知識や計算力が十分であることは、分けて考える必要があります。
2.G10までに何を準備すべきか
DP数学への準備では、実際にどの内容を学び、試験問題にどの程度対応できるかを確認する必要があります。
私が塾講師として目安にしているのは、次の2点です。
① Cambridge IGCSE Mathematics Extendedで80%程度を取れるようにする
MYPでは、学校や教員によって、扱う単元や問題の難度に差があります。また、利用できる過去問も限られているため、外部試験に向けた反復練習を行いにくい場合があります。
一方、Cambridge IGCSE Mathematics Extendedは、試験範囲が明確で、過去問も比較的入手しやすいため、試験形式に慣れるための反復練習を行いやすいという利点があります。
そのため、MYPの生徒であっても、DP数学に進む前にはCambridge IGCSE Mathematics Extendedの過去問に取り組み、80%程度を安定して取れる状態を目指すことを勧めています。
目的は、単に点数を取ることではありません。
Extendedの問題を通して、
代数計算を正確に行えるか
関数やグラフを理解しているか
三角比を使えるか(正弦定理・余弦定理を含む)
確率・統計の基本が定着しているか
時間内に問題を処理できるか
を確認することができます。
特にDPのSLを選択する場合でも、Extendedで80%程度を取れる力は、一つの重要な準備ラインだと考えています。
② HLを選ぶならCambridge IGCSE Additional Mathematicsで50%以上を目指す
DPでHLを選択する場合は、Cambridge IGCSE Mathematics Extendedの内容だけでは十分ではありません。特にAA HLでは、高度な代数や関数に加えて、微分・積分を広く深く学びます。
そのため、HLを希望する生徒には、G10終了までにIGCSE Additional Mathematicsの学習内容にも取り組むことを勧めています。
さらに、内容を一度学習するだけではなく、Additional Mathematicsの試験問題で、少なくとも50%を取れる状態を目標とします。
Additional Mathematicsで50%を取るためには、
二項定理
高次方程式
二次不等式
指数・対数方程式
等差数列・等比数列
三角関数・方程式
微分・積分(合成関数の微分などを含む)
を実際の問題の中で使う必要があります。
もちろん、50%を取ればHLで必ず成功できるという意味ではありません。基本問題で失点しているのか、難しい問題だけを落としているのかによって、同じ50%でも準備状況は異なります。
それでも、MYP ExtendedだけでDP HLに進むよりも、Additional Mathematicsの内容を学習し、外部試験形式の問題で50%以上を取れる状態にしておくことが、HLで苦戦する可能性を下げると考えています。
③ 塾講師としての推奨ライン
DP数学SLを考える場合:
Cambridge IGCSE Mathematics Extendedの過去問で80%程度
DP数学HLを考える場合:
Cambridge IGCSE Mathematics Extendedで80%程度、かつCambridge IGCSE Additional Mathematicsで50%以上
※これらは、IBやCambridgeが定めた公式の履修条件ではなく、私の指導経験に基づく目安です。
まとめ
MYP数学の成績やeAssessmentの結果は、DP数学のコースを選ぶうえで重要な判断材料です。
しかし、MYPで高い成績を取り、Extendedを履修し、eAssessmentで7を取っていたとしても、それだけでDP数学への準備が十分だとは判断できません。
MYPの強みは、探究、説明、応用を重視し、DPのIAにつながる力を育てられることです。一方、DPの筆記試験では、より多くの知識を定着させ、複数の分野を組み合わせて、限られた時間内に使う力が必要です。
私は、G10終了時点で、DP数学SLを考える生徒にはCambridge IGCSE Mathematics Extendedで80%程度、HLを考える生徒には、それに加えてAdditional Mathematicsで50%以上を取れることを目安として勧めています。
大切なのは、コース名や成績だけで判断するのではなく、実際にどの内容を理解し、それをどの程度正確に、どの程度の速さで使えるかを確認することです。

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