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35回 受験で失うもの


 世の中には、まだまだ学歴が大切だと考える人が多いです。そして、とりあえず有名な学校に行っておけば安心だろうということで、周りの大人から受験を勧められて、受験勉強に向かっている子どもたちが多いです。今回はあえてリスクの面を考えて、その受験勉強で、失ってしまうものについて考えておきましょう。


 まず、受験勉強によって奪われるものは、自分の進路について考える時間です。受験勉強をしている子どもたちは勉強することに忙しくなります。進学するための勉強なのに、どのような進学をするかを考えるよりも、目の前の勉強することが優先されてしまいます。常に自分がやることを示されて、それをただひたすらこなしていく毎日では、人は自分の頭で考えることをやめてしまいます。自分の進路も人に決めてもらった方が楽になります。そのため、人から言われた進路を、よく考えないまま盲目的に信じてしまうのです。それにより、受験している学校のことを全く知らないまま受験したり、せっかく入学したのに学校生活を楽しめなかったり、自分の人生なのに他者の責任にしてしまうということが起きます。


 さらに、受験勉強により、自分で学ぶ力が奪われます。受験勉強では、「ここはテストにでるよ。」という箇所や過去問題を暗記します。そうした方が簡単に点数が上がるからです。自分で主体的に学ぶことは、受験勉強からしたら、効率的ではありません。そのため、自分で考えて勉強せず、人から教えてもらったことを、そのまま覚えようとします。これからの変化の激しい社会の中で、人生はずっと勉強を続けていかなければなりません。それなのに、自分で学ぶ力がない場合は、ただ人から言われたことに従って生きていくだけになります。簡単に人に騙されたり、文句だけ言って楽しくない人生をひたすら歩んだりということが起きてしまいます。


 子どもたちの思考停止は、保護者の方の責任です。子どもたち自身に考えさせ、子どもたち自身に選ばせる時間をきちんと持ってあげてください。人生の正解は誰も教えてくれません。


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