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2027年からIB DP数学はどう変わる?保護者・生徒が知っておきたいポイント

  • 6月10日
  • 読了時間: 6分

IB Diploma Programme(IBDP)の数学は、2027年2月に新しいカリキュラムが発表され、2027年8月から正式に授業が始まります。新カリキュラムで学ぶ生徒の最初の外部試験は、2029年5月に実施される予定です。


今回の変更は、「まったく新しい数学になる」というものではありません。むしろ、現在のDP数学の良い部分を残しながら、内容を整理し、より学びやすくするための改訂です。


今回の改訂では新しく追加される単元はなく、一部の内容が削減される形になっています。生徒にとっては、より本質的な数学的理解、問題解決力、そして考えを説明する力が重視されるようになります。


今回の変更の大きなポイント


2027年からのDP数学の変更は、主に次の3つです。

  1. 新しく追加される内容はない

  2. 一部の単元が削減される

  3. IA(Internal Assessment)の評価基準が、数学的な探究の流れに合わせて整理される

つまり、学習量が増えるというよりも、内容がより明確に整理される改訂と考えるとよいでしょう。




Mathematics: Analysis and Approaches (AA)


Math AAは、関数、代数、証明、微積分などを中心に、数学を理論的・分析的に学ぶコースです。大学で数学、物理、工学、経済学などを学びたい生徒にとって重要な選択肢です。

2027年の改訂では、Math AAでも新しい内容は追加されず、一部の内容が削減されます。


Math AAで削減される内容

Standard level(SL)

  • Financial applications 金融への応用

  • Bivariate data 二変量データ

Higher level (HL)

  • Financial applications 金融への応用

  • Proof by counter example 反例による証明

  • Bivariate data 二変量データ

  • Euler’s method オイラー法

Math AAでは、これまで通り、代数的な処理力、関数の理解、微積分、論理的に説明する力が重要です。特にHLでは、計算の正確さだけでなく、「なぜその方法を使うのか」を説明できる力が引き続き求められます。



Mathematics: Applications and Interpretation (AI)


Math AIは、統計、モデリング、テクノロジーの活用、実社会のデータ分析を重視するコースです。社会科学、ビジネス、心理学、データ分析などに関心がある生徒にとって、非常に実用的な数学コースです。

2027年の改訂では、Math AIでも新しい内容は追加されず、一部の内容が削減されます。


Math AI で削減される内容

Standard level(SL)

  • Logarithms 対数

  • Approximation of areas using the trapezoidal rule(台形公式を用いた面積の近似)

Higher level (HL)

  • Complex numbers 複素数

  • Vector product ベクトル積

  • Poisson distribution ポアソン分布

  • Hypothesis tests for:  仮説検定: 

    • population mean of a normal distribution, 正規分布の母平均 

    • population mean of a Poisson distribution,  ポアソン分布の母平均 

    • correlation coefficient 相関係数

Math AIでは、テクノロジーを使って問題を解く力、グラフやデータを読み取る力、そして結果を現実の文脈に戻して解釈する力が引き続き重要です。



外部評価はどう変わる?


外部評価(External Assessment)にも少し変更があります。大きな形式は変わりませんが、問題数と得点が一部調整されます。


Standard Level (SL)

 Paper 1とPaper 2の問題数が減少し、合計点数は75点になります。これまでは80点でした。

Higher Level(HL)

 Paper 1とPaper 2の問題数が減少し、合計点数は100点になります。これまでは110点でした。Paper 3も問題数が減少し、試験時間は1時間、得点は50点になります。これまでは75分で55点でした。


この変更により、試験の負担は少し整理されます。ただし、問題を正確に読み取り、適切な方法を選び、論理的に解答を書く力はこれまで通り重要です。



IAはどう変わる?


Internal Assessment(IA)の課題そのものは、これまで通り mathematical exploration(数学的な探究)です。ただし、評価基準が変更されます。今回の新しい評価基準では、数学の問題解決の流れがより明確に整理されています。


簡単に言えば、IAでは次のような流れがより重視されます。


問題を設定する

→現実の問題を数学の形にする

→計算・分析を行う

→結果を解釈し、評価する

→必要に応じて改善する


合計点は、これまでと同じ20点です。

新しいIA評価基準

A: Problem specification (問題の具体的な内容) 4点

  1. Problem in context (文脈における問題)

  2. Desired outcomes (達成したい成果)

B: Abstraction (抽象化) 6点

  1. Assumptions (仮定)

  2. Selected techniques and tools (選択された手法やツール)

  3. Mathematical form (数学的表現)

C: Computation (計算処理)  4点

  1. Calculations (計算)

  2. Mathematical communication (数学的なコミュニケーション)

D: Interpretation (解釈) 6点

  1. Interpretation of results (結果の解釈)

  2. Evaluation of desired outcomes  (目標に対する評価)

  3. Refinement (改善・発展)

A: Problem specification(問題の具体化)4点

ここでは、探究する問題が明確であるかが評価されます。

評価される内容は以下の通りです。

  • Problem in context(文脈における問題)

  • Desired outcomes(達成したい成果)

つまり、「何について調べるのか」「なぜその問題を調べる価値があるのか」「最終的に何を明らかにしたいのか」をはっきりさせる必要があります。


B: Abstraction(抽象化)6点

ここでは、現実の問題をどのように数学の形にするかが評価されます。

評価される内容は以下の通りです。

  • Assumptions(仮定)

  • Selected techniques and tools(選択した手法やツール)

  • Mathematical form(数学的表現)

IAでは、ただ計算するだけでは不十分です。どのような仮定を置いたのか、なぜその数学的手法を選んだのかを説明することが重要になります。


C: Computation(計算処理)4点

ここでは、数学的な処理が正確に行われているかが評価されます。

評価される内容は以下の通りです。

  • Calculations(計算)

  • Mathematical communication(数学的なコミュニケーション)

計算が正しいことはもちろん、途中式、グラフ、表、記号の使い方が分かりやすく整理されていることも大切です。


D: Interpretation(解釈)6点

ここでは、計算結果をどのように解釈し、元の問題に戻して評価するかが重視されます。

評価される内容は以下の通りです。

  • Interpretation of results(結果の解釈)

  • Evaluation of desired outcomes(目標に対する評価)

  • Refinement(改善・発展)


IAで高得点を目指すには、計算結果を出して終わりにするのではなく、その結果が現実の文脈で何を意味するのかを説明する必要があります。また、自分のモデルや方法に限界がある場合は、それを認識し、どのように改善できるかを考えることも重要です。



生徒にとって何が大切になるのか

今回の改訂では、単元が一部削減される一方で、「数学を使って考える力」はこれまで以上に明確に求められます。

特に大切になるのは、次のような力です。

  • 問題文を正確に読み取る力

  • 適切な数学的手法を選ぶ力

  • 計算過程を分かりやすく書く力

  • グラフや数値の意味を説明する力

  • 結果を現実の文脈で解釈する力

  • 自分の考えを英語で明確に伝える力

数学では、答えが合っているだけでは十分ではありません。どのように考え、なぜその方法を選び、その結果から何が分かるのかを説明する力が必要です。


保護者の方へ

2027年からのDP数学は、大きく方向性が変わる改訂ではありません。新しい内容が追加されるのではなく、内容が整理され、評価の観点がより明確になります。

そのため、必要以上に不安になる必要はありません。ただし、DP数学で成功するためには、早い段階から基礎計算力、英語の数学用語、問題文の読解力、そして解答を論理的に書く力を育てていくことが大切です。

特に、Math AAとMath AIのどちらを選ぶか、SLとHLのどちらを選ぶかは、生徒の得意分野、進路、学習スタイルによって大きく変わります。コース選択は、単に「簡単そう」「難しそう」で決めるのではなく、将来の進路と現在の数学力を踏まえて慎重に考える必要があります。


まとめ

2027年からのDP数学の変更は、以下のように整理できます。

  • 新しい内容は追加されない

  • 一部の単元が削減される

  • 外部試験の問題数と点数が少し調整される

  • IAの評価基準が、数学的探究の流れに沿って整理される

  • 「計算する力」だけでなく、「考えを説明する力」「結果を解釈する力」がより重要になる


数学は、単なる計算科目ではありません。数学を使って問題を理解し、解決し、その結果を伝える科目です。今回の改訂は、生徒がより本質的に数学を学び、自分の考えを明確に表現する力を伸ばすための変更だと言えるでしょう。



IBO. (2026). Mathematics: analysis and approaches updates



 
 
 

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