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2回 シンガポールでの学びを残そう

 この4月から新しくシンガポールにいらっしゃった方も多いでしょう。特に初めて海外に住むことになった方は、新生活への大きな期待と、少しの不安を感じておられるのではないかと思います。そして、シンガポールにすでにお住まいだった方も、周りで親しい人との別れがあったり、新しい出会いがあったりと変化が起こっているのではないでしょうか。


 子どもたちにとっても、新しい環境は心に大きな影響を与えます。保護者の方の都合で、今までの生活から離れてシンガポールにいた子どもたちにとっては、最初の数カ月は非常にストレスが多い時期になることでしょう。しかし、それを上手に乗り越えてシンガポールでの生活を楽しいものにしてもらいたいと思います。


 さて、子どものころをシンガポールで過ごすという経験は、どのような価値があるでしょうか。先日、3年前にシンガポールで中学校を卒業して日本に帰国し、この3月に日本の高校を卒業したばかりの卒業生たちが訪ねてきてくれました。日本での高校生活を終えた彼らは、口をそろえて「シンガポールにいた時間が貴重だった。」と言いました。そして、彼らの一人が話してくれた「シンガポールにいるうちは、シンガポールの中で日本のものばかりを探していたけれど、日本に帰ってからはシンガポールのものをもっともっと知っておけばよかったと後悔した。」という発言が、今でも私の心に残っています。


 シンガポール国籍の人でも人種によってメインの言葉や生活習慣が違ったり、国の祝日が宗教とつながっていたり、街ですれ違ったり、店で接客をしてくれる人たちが、様々な外国の出身であったりと、シンガポールの街中では多様性を感じる体験が多くできます。この体験は、子どもたちにとって、将来再び外国に出て学んだり、働いたりする選択肢を広げるための、根拠の一つになることもあります。ただ楽しかっただけではない、学びがある体験をぜひともさせてあげてください。そして、それを日本に帰って友達に語ることができるエピソードとして残していくように、声をかけてあげてください。


 もちろん、保護者の方も同じように、街を歩くとき、店に入るとき、電車・バスに乗るときに、自分の周りで起こることにアンテナを高くして、細かく観察をして、気になったことは子どもたちと一緒に調べていきましょう。これは、そろそろ日本帰国の時期を迎えるご家庭にとっても同じです。保護者の方も、子どもたちと同じように、シンガポールらしさを日本に帰って十分話せますか。見たこと、体験したことを言語化してきちんとまとめることができていますか。みなさんのシンガポールでの新しい生活を、新しい発見に満ちた充実したものにしていきましょう。


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