4回 理想とする人との出会い

 以前の勤務校でも、シンガポール日本人学校でも、子どもたちと「夢は何ですか?」「大人になったら、社会でどんなことをしたいと思いますか?」「どのような大人になりたいですか?」と将来のことをよく話していました。それは、子どもたちが少しでも、将来のことに対して前向きに考えてほしいと思うからでした。


 この質問に対して、よく自分の将来のことを話すことができる子どもたちに共通していたことは、それまでに素晴らしい人との出会いや、心を動かされる体験があったことでした。例えば、長い時間を一緒に過ごす自分の保護者の方に憧れたり、定期的に会う親戚の人の話に感銘を受けたりした経験がありました。または、身近で楽しい時間を過ごす友達や、学校や習い事の先生や、保護者の方が連れてきた大人の友達など、尊敬することができる他者との出会いを経験していました。そして、それはリアルな出会いの体験だけにとらわれるわけではありません。本や映画やゲームなどにでてくる人物との出会いも、素晴らしい出会いには含まれています。これらの中では、偉人の生い立ちを描いた物語や未来の世界を描いた物語など、現在という枠にとらわれず、過去から未来まで幅広い時間の中で、自分にとって気づきのある人との出会いを経験することができます。このように、自分がこうなりたいというモデルを見つけることは、子どもたちが将来を考えることに一番効果的だと考えています。


 このような出会いを上手に提供してあげるのが、大人の役割です。子どもだから、わからないだろうと勝手に決めてしまうのは、もったいないです。大人から、自分が素敵だと感じた出会いについて、共有を続けましょう。今日はこんな楽しい人に出会ったという話をしてあげたり、読んだおすすめの本を紹介してあげたりと、大人だって出会いから学んでいるんだという姿勢を全面に出していきましょう。思春期に入った場合は、なかなか身近な人の言うことを素直に聞きづらくなっているかもしれません。そんな時は、他の人に協力を仰いだほうが良いことが多いです。学校の先生でも、他の習い事の先生でも、親戚の方やお友達でも構いません。または、本や映画などでもよいでしょう。周りの様々な人の協力を得て、子どもたちにとって素敵な出会いを支援していきましょう。